2024年9月18日に実施した株式会社カウリス(153A)IR説明会の書き起こし記事を公開しました!
※元記事はこちらです。
https://ishare-emh.com/report/763/view-full

~~~ IR説明会Q&A要旨 ~~~

Q: 貴社のKPIの一つであるMRRの名称と内容を教えてほしい。
A: MRRは「Monthly Recurring Revenue」を指し、毎月繰り返し発生する売上のことである。例えば、年間4000万円の注文が入った場合、12分割した約300万を毎月の売上として積み上げていく。SaaSやサブスク型の事業で重要な指標である。

(株式会社カウリス 2024年第2四半期決算資料より引用)

Q: 今第2四半期ではアップセルが堅調だったとのことだが、具体的にはどのようなアップセルがあったのか。ベースとなるセールスやクロスセルと共に説明してほしい。
A: 今期第2四半期におけるアップセルの要因には、インターネットバンキングの利用者増加や、為替変動による単価の値上げがあった。クロスセルに関しては、インターネットバンキングを用いたログインページのモニタリングをベースに、監視チャネルにアプリを追加することや、送金の監視等といったオプションの追加が挙げられる。

(株式会社カウリス 2024年第2四半期決算資料より引用)

Q: 現時点の契約銀行名と銀行数を教えてほしい。
A: SMBCやイオン銀行やりそな銀行、セブン銀行と取引を行っている。地方銀行であれば、千葉銀行横浜銀行契約銀行が契約銀行である。取引銀行数は22~23である。

Q: 新規獲得銀行の営業開始から獲得までの期間とステップを教えてほしい。
A: 会社設立当初は、新規獲得まで平均して18か月ほどかかっていた。現在では、銀行側のクラウド利用に対する抵抗が少なくなっており、5~7か月になっている。商談数は5~6回であり、コンプライアンス部門に対し、システムインテグレーションやオペレーション構築、法的論点の整理について説明し、各部門へ展開するという流れである。インシデントやフィッシング詐欺の発生により、獲得期間が短くなる場合もある。先行事例の構築や金融犯罪対応の要請により、リードタイムは短くなる傾向にある。

Q: チャーンリカバリー対策の具体的な施策はどのようなものか。
A: 取引先銀行内で、複数の部門を横断して弊社のサービスを活用する体制を構築している。具体的には、経営企画部門が金融庁への報告、IT部門が盗難などのチェック、コンプラ部門が運用ルールを策定、リテール部門が本人確認を行う、という仕組みを整備してチャーン対策を行っている。

(株式会社カウリス 2024年第2四半期決算資料より引用)

Q: 競合となる企業は何か。不正利用者をリストから排除するという、貴社と同様のプロセスを行う企業は他にあるか。また、「Fraud Detection」や「セキュリティベンダー」との違いは何か。「Fraud Detection」はどのようなサービスを行っているのか。
A: 複数の外資系企業が競合となっている。具体的に、リスクベース認証の分野ではSymantecやRSA、LexisNexis Risk Solutionsが競合になっている。金融庁や個人情報委員会から確認を取り、不正利用者情報を共有する点が他社との差別化となっている。セキュリティベンダーは情報保護サービスを提供する企業であり、弊社はID認証に基づいたなりすまし検知や、リスクベースのサービスを提供している。弊社ではFraud Detectionに加え、マネーロンダリング対策も行っている。

Q: 決算説明資料P48に記載の「メガバンク等の金融機関のリーディングカンパニー」の現時点での契約企業数および5年後の目標数を教えて欲しい。
A: 金融機関の契約数は22~23であり、内都市銀行は2社である。26年には122社の金融機関のうち半分との契約を取ることが目標だが、5年後にはそれを上回る契約を取りたいと考えている。

Q: 最新の会社四季報で、日鉄ソリューションズ、SCSKでマネロン対策のキーワードがあったが、これら企業は競合になり得るか。
A: 日鉄ソリューションのSWIFTは、クロスボーダーのネットワークに不正がないかを検知を目的としたソフトウェアであり、弊社と異なる領域のサービスであるため競合にはならない。SCSKでは、出金のモニタリングサービスを提供しており、弊社のサービスとは相互補完的な関係にある。

Q: 電力サービスというのは、顧客が新規口座開設をしようとした際に、その家に電気が通っていない場合は空き家だと判定し、口座開設ができない仕組みであるという認識であるがこれは現在どのくらいの世帯・エリアを網羅しているのか。
A: 現在、空き家かどうかを判定するためにデータを連携している地域が、中部、中国、北海道、関西エリアで、人口動態でいうと約40%である。法律改正により、空き家以外の情報も活用できるようになったため、APIを活用してそれらの情報ともシステム連携することを考えている。

Q: 電力サービス事業について、類似のサービスを行っている企業はあるか。また、電力会社との紐付けによる偽装対策について、これは貴社独占のものか。
A: マイナンバーカードが類似サービスである。ただ、金融機関による本人確認に同意が必要であること、フィッシング詐欺を想定して同意されない場合があり、本人同意が必要ない弊社サービスに優位性があると考えている。また、新規参入を防ぐため、インフラ系個人情報を利用して本人確認を行う仕組みに関する特許を取得している。

Q: 上場前から、多くの金融機関の信頼を勝ち取ることができている理由を教えてほしい。
A: 最初にメガバンクとの取引を成立させたことで、システムのバージョンアップが早く進んだことに加え、弊社の取り組みにより多数の不正を検知した事例を創出したことが信頼構築の大きな要因となった。また、資本構成に、メガバンクグループ、ソニーグループなどが入っていたことで、金融機関の紹介を受けるきっかけとなった。さらに、他社の情報を組み合わせるビジネスモデルも評価されていると考えている。

(株式会社カウリス 2024年第2四半期決算資料より引用)

Q: M&Aは検討対象にあるか。あるとすれば、どういった企業が対象になるか。M&Aでシナジーの効く企業というのはどのような物か。
A: 現時点では自社のサービスの向上に焦点を当てており、M&Aは考えていない。海外企業で機能や技術が優れた企業であれば対象になる。国内でも、本人確認の2要素認証や与信管理のサービスを行う企業は対象になりうる。

Q: マネロン対策の競合企業としては金融システムを提供しているNTTデータなどSIerが想定されるが、こうしたSIerとの提携あるいは競合関係はどうなっているのか。
A: 弊社の競合企業がNTTデータに販売委託をしているという形であり、直接の競合ではない。また、Sier自体も、納入の際に要件定義を共に行うパートナー会社であり、競合ではない。

Q: 新規営業先金融機関の進捗率はどうなっているか。また、導入を見送られた銀行への再営業はどういった方針、頻度で行なっているか。
A:金融機関122社には不定期にメールマガジンを配信している。銀行は3年ごとに人事異動があり、導入を見送った銀行については、人事の動向を追いかけながら再提案を行っている。進捗率は開示していない。

Q: ​​企業との契約は営業・問い合わせのどちらで決まることが多いか。
A: 銀行協会や同業他社を通じた紹介のほうが多い。

Q: 有価証券報告書によると、三井住友銀行の売上が前年比5%程度増加し、楽天証券は16.4%増加している。この2社の増加の違いを教えてほしい。
A: 為替の影響や、クロスセルによる接地の増大が主な要因となっているが、個別の企業に関する話であり、詳細を伝えることはできない。

(株式会社カウリス 2023年有価証券報告書より引用)

Q: 解約が2社あったとのことだが、どのような理由からなのか。 またその2社は他社のサービス等に乗り換えたのか。
A: 1社が費用対効果の観点、もう1社が部門横断の体制構築が厳しいという理由だった。金融庁からの要請や、グローバルでモニタリングに対する要請が強まっていることもあり、再び弊社サービスを利用する可能性はあると考えている。

Q: JAバンクも農林中央金庫が中心になってマネロン対策を行っている。JAは全国に1万店舗、3700万口座と顧客が豊富である。この情報を共有していくためにも農林中金をユーザー獲得していくことが大切ではないか。
A: その通りである。口座数が多いことから、農林中央金庫の優先順位は高くなっている。口座数が多ければ預かり残高も多くなり、金融犯罪の標的になる可能性が高まるので、口座数は弊社にとって重要な指標である。

Q: 有報で「2023年12月期における当社の売上高に占める主要取引先上位10社の売上高合計の割合は69.0%」とあるが、この割合は今後どのように推移する見込みか。
A: 信用金庫との取引が増加することで、上位取引先が売上に占める比率は下がっていくと見込んでいる。また、金融機関が非金融機関向けにOEM提供する動きが進んでおり、銀行の数自体が増加することから、上位取引先が売り上げに占める比率はさらに低下すると考えている。

(株式会社カウリス 2023年有価証券報告書より引用)

Q: これまで非常に高い売上成長を実現しているが、今後は年率どの程度の成長率を想定しているのか。
A:金融庁に、弊社のサービスに関する法令上の整理について照会をしており、適法との回答を得た後には、今後の成長率は35~45%で推移していくと見込んでいる。また、2027年にFATFが再び監査に来る予定であり、その前年である2026年には駆け込み需要が発生すると予想している。

Q: ​​SMBC以外のメガバンクは、貴社以外のどちらのサービスを利用していると考えるか。
A:取引先ではない企業に関する仮説の話になるため、回答は控える。

Q: 派遣社員についてスキルによっては「派遣社員に切り出してもいい」との事だが、具体的にどの様な業務を派遣社員に任せていく考えなのか。また併せて正社員の対応業務と求めている人材のレベル感を教えて欲しい。
A:派遣社員にはデータ解析の一部業務を任せている。データサイエンティストやAIエンジニアは採用が難しいため、派遣として採用し、その後正社員として登用している。

Q: 代理店の活用は行っているのか。
A:代理店は使用しておらず、すべて直販である。代理店を挟まない理由として、データをリアルタイムで連携する必要があること、顧客からの直接的なフィードバックを得ることや、密な関係性を構築することが求められるからである。

Q: ​​他社のサービスにあって貴社のサービスにない機能があれば教えてほしい。
A:他社にあって弊社にない機能は特に思い当たらない。

Q: 銀行シェアは50%であるがどのように獲得するのか具体的に教えてほしい。
A:今後は、Fraud detectionの導入経験がない銀行への営業活動を中心に進めていく。規制の厳格化を防ぐため、業界全体で協力して銀行口座の転売を防ぐ取り組みが進んでいる現状を利用し、先行事例のある顧客と協力しながら弊社のサービスを広めていくことを考えている。

  1. Q: りそなアセットマネジメントが貴社の大量保有報告書を提出しているが、この背景について開示可能な範囲内で教えてほしい。
    A:具体的な背景については把握していないが、確かに大量保有報告書が提出されている。また、投資信託のポートフォリオにおいて当社の株式をリード株式と位置付けている。これらは、将来的な株価上昇の要因になると考えている。

(株探より引用)

Q: 上場直後は頻度の高いプレスリリース等のIRを出していたが、最近IRの頻度が少ないと感じる。貴社の今後のIRへの姿勢に関して社長からの見解を聞きたい。
A:予定しているIRがいくつかあるが、最近の発信は確かに少なくなっており、申し訳なく感じている。できる限り情報提供を行っていく方針である。

(株式会社カウリス お知らせより引用)

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