2024年9月13日に実施した株式会社ドリーム・アーツ(4811)IR説明会の書き起こし記事を公開しました!
※元記事はこちらです。
https://ishare-emh.com/report/762/view-full


~~~ IR説明会Q&A要旨 ~~~

Q: 2022年より製品間の機能的な連携を高める社内プロジェクト「スクラム作戦」とあるが、SaaS プロダクト(Smart DB、InsuiteX、Shopらん)を複数利用している企業の割合はSmart DB導入企業のうちどのくらいか?

 A: 約15%~17%くらいである。

(三菱UFJモルガン・スタンレー証券より引用)

Q: Smart DBの多言語対応状況について教えてほしい。また、海外企業が日本法人のみ導入する事例はあるか?

 A: SmartDBは、20年前から国際時差および3か国語に対応可能である。また、有名海外ブランドの日本法人が導入している事例が複数ある。

Q: 昇給・増員による人件費増加がありながら、2Qの人件費ほか、労務費ほかが前Q、前々Qよりも下がっているのは何故か。FY23 4Q、FY24 1Qで増加し、その後減少した費用には何が含まれているのか。その費用は突発的に今後も発生する可能性があるか。

 A: 昨年第4Qで営業費用が増加したのは、決算賞与の支給や上場関連費用によるものである。今年第1Qはその分がなくなり、費用が下がっている。第2Qでは第1Qで実施した上場記念パーティ費用がなくなり、さらに費用が減少した。また、ソフトウェア開発において一部の費用をソフトウェア資産として原価からBSに振り替えているため、原価が下がっている。今後は人材を増やし、売上の伸びに応じてコストも増加する見通したが、昨年第4Q~今年第2Qにかけての費用の変動は一過性のものである。

Q: 他社ノーコード・ローコード開発国内ベンダーは、大企業の高度な要求を満たすだけの機能的網羅性が十分ではないと有報にあるが、国内ベンダーが大企業向けに進出し、単価が下がるリスクはあるか。その場合の貴社の対応は何か。

 A: 他の国内ベンダーが進出する際には二つの障壁がある。まず、大企業の組織構造は非常に複雑で、兼務や人事異動がある。そのうえで所属部署や役職に応じたアクセスコントロール(権限設定)ができる機能が必要であり、システムには大量の同時ログインに耐えうるパフォーマンス強度が求められる。当社は幾多の経験とトラブル解消を経て、大企業特有のニーズに応える能力を培ってきた。次に、営業活動の難しさがある。大企業に対する営業では、取引相手から複数から十数名の関係者が出てくることが多く、社内での思惑の違いや利害の拮抗を調整しながら営業を進めていかなくてはならない。これらの理由から、国内ベンダーが大企業向けに進出するハードルを越えることは容易ではないと認識している。

Q: 三菱UFJやリクルート、KDDIなどの巨大企業からの信頼を得られた要因や背景・経緯について教えてほしい。 

A: 最も重要な営業ツールは先行事例・実績であると考えている。初めは、大企業向け営業の経験が豊富な社長自らがトップセールスを行ったが、最近では大企業の先行事例を活用して20~30代の若手メンバーが先行実績を積み上げている。また近年では、「ユーザ訪問」という既存顧客が弊社プロダクトの導入を検討している企業に実際の使用感や活用方法を紹介する、ユーザーがユーザーを呼ぶ構造ができている。

Q:従業員500人以上の会社をターゲットにすることは検討しているか。 

A: 可能性はあるが、現時点で検討はしていない。従業員が数100名規模の企業を対象とした営業は競合が非常に多く、またアップセル、クロスセルの見込みが薄いためである。

Q: オンプレミスでSmartDBを利用している顧客数は何社程度か。そのうち何割程度がクラウドに移行すると考えている。

 A: オンプレミスの利用顧客は45社である。そのうち、クラウドに移行するのは50~70%であると考えている。規模の小さい会社はクラウドへの移行を行わないとみている。

Q: ホリゾンタルSaaSについて、解約社数はどの程度発生しているか。今後、解約率を開示する予定はあるか。

 A:解約社数は、 2023年は0社(解約と復活がそれぞれ1社のためネット)、2024年は2社である。エンタープライズ企業は規模が大きい分、慎重に検討かつ社内の合意形成を取る。また活用が進むほど重要データのハンドリングをSmartDBが担うことになるので、解約されにくい状況が作られている。解約数を明示することはなく、今後もNRRで提示しようと考えている。

Q: SmartDBは顧客において全社的に導入されている場合、解約されにくくなると考えているが、その認識であっているか。また、解約が起こる場合はどんな理由での解約が多いのか。

 A:その通りである。解約がこの2年間で2社しかなく、一般的な解約理由を出すことはできないが、PoCで導入したが、社内に波及しなかったことが大まかな理由である。(PoC(Proof of Concept:概念実証)とは、新しいアイデアや技術の実現可能性を検証することを指します。)

Q: 4種類の戦略パートナー種別が設定されていると理解しているが、それぞれにどのような役割を意図しているのか。また、パートナー戦略は順調に進んでいるか。

 A: クラウドソーシングはSmartDBを使える有資格者を派遣する企業である。クラウドインテグレーションはSIerである。ソリューションプロバイディングは、特定の業界に特化した企業で、ソリューションをSmartDB上でテンプレート化し販売する。セールスパートナーは案件を持ってくるが、直接関与しない。先に挙げた3つに特に力を入れており、リクルーティングは順調に進んでいると考えている。

Q: ワークフローや経費精算など様々なSaaSツールがあり、それぞれ進化していると思われるが、それらのSaaSプロダクトとSmartDBは競合しているイメージか。それらと比較してSmartDBの優位性はどうか。

 A: 競合する場面もある。特定業務に特化したパッケージが求められる際は、弊社の商品が選ばれないこともある。ただし、データやユーザーの規模が大きい場合は、弊社の商品が選ばれることが多い。適用範囲が広いことが、SmartDBの優位性である。

Q: 御社とネクスウェイの関係、また、Shopらんと店舗maticの関係はどのようなものか教えてください。店舗maticの売上は御社にも入ってくるのでしょうか? 

A: ネクスウェイと協業してShopらんのサービスを開発した。立ち上げ当初のリスク分散のために、独占販売権をネクスウェイに渡し、弊社がサービスを制作するという協業関係を構築した。店舗maticを大規模に展開するにあたり立てたドリーム・アーツ専門のブランドがShopらんである。もちろん、店舗maticの売り上げは弊社にも入る。

Q: 貴社の強みである、製品技術力の源泉は何か。

 A: 一つは対話力である。顧客からのリクエストに対して、真意や背景をくみ取り、いち早くサンプルを提示し、さらに潜在的なニーズを聞き出す対話を20年繰り返してきた。もうひとつは、トラブルを起こしても向き合い、ノウハウを積み重ねてきた技術者の文化があることである。

Q: ホリゾンタルSaaSの平均月額利用料は直近では157万円とのことだが、中央値はどの程度か?また、最大顧客の月額利用料はどの程度か?

 A: 社名は公表できないが、最大顧客の月額利用料は約1300万円である。中央値は82万円であることからアップサイド余地があると認識している。

Q: パートナー戦略のなかで、今年末から来年初頭に発表予定の大型案件があると聞いたが、この案件は富士ソフトさんとの協業案件か。それとも現時点では公表できない他の協業パートナーがいるのか。 

A: 大型案件は確かにあるが、協業相手先については現時点で公表することができない。

Q: バーティカルSaaSで、特に小型チェーンで導入社数が減少しているのはなぜか。また、バーティカルSaaSの拡大余地は市場規模的にまだ残されているか。

 A: バーティカルSaaSを導入している多店舗小売業は現在、大変革の時期にある。従来は多店舗型のチェーン展開が主流であったが、今後は多店舗サービス拠点を持つ形が主流になると考えられる。現在、すでに統廃合が進んでおり、衰退している企業からキャンセルが出ている一方で、大型の新規案件も同時に発生している。バーティカルSaaSやShopらんは、多拠点型のサービス拠点にも対応可能であるので、明確な根拠はないが、2025年後半ごろから導入社数が伸びていくと思われる。

Q: リクルートや三菱UFJ銀行など大口顧客が存在していると思われる。顧客の集中リスクに関して、最大の顧客が売上高に占める割合はどの程度か。 

A: 現状、最大のユーザーがMRRの中で占める割合は5%である。

Q: Smart DBの導入支援パターンは完全自走型、伴走協働型、請負型、どのタイプが多いか。また、完全自走型から他のタイプに移行することもあるのか。

 A: 現場業務部門が主導するデジタル化をマーケティングしていることもあり、伴走型が最も多く、完全自走型はほとんどない。最近は請負型が増えている。これは、現場が忙しすぎてデジタライゼーションを進められない場合や、大企業のシステム部門が忙しくて対応できない場合があるためである。

Q: ホリゾンタルSaaSについて、今期導入社数の目標として60社と述べていたが、Q2までで15社と目標を下回っているように見える。想定より導入社数が少ない要因は何か。また今後、導入社数の増加ペースを再度加速することはできるか。

 A: より利益の向上につながる大型案件を優先しているため、導入社数は目標を下回っている。将来、導入社数は増加すると考えている。増加分を確実に利益に転嫁するため、より早くパートナー戦略を売り上げに結びつけられる状況にすることを目指している。

Q: サイボウズなどではサービス価格の値上げを実施しているが、御社ではSaaS製品の値上げは行わないのか。また、値上げは顧客に許容されそうか。

 A:値上げはこれまでに2回行っており、直近では今年実施している。値上げに関しては説明を行っており、顧客にも理解されているため、次回以降の値上げも大きなハードルはないと考えている。

Q: 売上原価の材料費はクラウドコストと考えられるが、売上高に対する比率が15%程度あり、他のSaaS企業と比べて高いように思われる。何か特別な理由はあるのでしょうか?

 A:エンタープライズ向けサービスを提供しているがゆえに、データ量やディスク、メモリ、CPUの利用率が高くなっている。SMBを中心としたシンプルなSaaSサービスを提供している他社と比較して、インフラにかかるコストが大きくなる傾向がある。しかし、モジュールの改変によりCPUの負荷を下げたり、メモリやディスクの使用を低減させるためのデータのハンドリングなど、材料費を下げる施策自体は成功している。(SMBとは Small and Medium Businessの略で、「中堅・中小企業」の意味。)

Q: 機関投資家向け説明会書き起こしで、MCSAは「伝統的に大手SIerのドル箱エリア」という話がありましたが、このSIerの仕事をSmartDBで代替した場合、顧客にとってどの程度コストメリットがあるのでしょうか?

 A:1/2から1/3、半分以下になると考えている。

Q: 剪定戦略によって、オンプレミスからクラウドへの移行が実現した場合、移行企業からの売上高はオンプレミスのときより大きくなるのか。それとも移行キャンペーンなどで安い価格で提供するのか。 

A:ターゲットを絞ったうえでキャンペーン価格を設定しているが、インフラコストも入っているため、売上高はオンプレミスのときよりも大きくなる。

Q: 2023年のNRRが年間を通して他の年より高くなっているのは、値上げ等の影響なのか。

 A:案件規模が大きくなったからであり、価格改定の影響ではない。

Q: 御社のビジネスモデルでは売上増加スピードに比べ経費増加ペースを抑えることが可能で今後利益率の向上が見込めると想像していますが、その理解は正しいか。中期的に30%以上の利益率は達成可能か。

 A:その理解で正しく、中期的な視点で見たら、30%以上の利益率は目指せると考えている。しかし、現時点では人材採用や仕組みの整備など、あらゆる投資を行っており、ビッグドーナツの市場における強固な地盤を築くことに比重を置いている。

Q: SmartDBの市場規模について、約4,000社がターゲットになりうるとのことだが、実際にはすでに営業して無理とわかっている企業も多数あると思われる。実際のところ、4000社のうちどの程度が実際に取りうる社数だと考えているか。

 A:数年前にSmartDBの採用を断った企業が、今年になって採用する場合や、別の部門で採用する場合があるため、完全にターゲットから外れるということはない。4000社のうち半数程度の企業の導入を目指したい。

Q: 中期経営計画を開示される予定はあるか。

 A:予定はしていないが、検討はしている。

Q: サイボウズのキントーンとはどこが一番違うのか。

 A:対応できる規模、ユーザー数、データ量、トランザクション処理能力が異なる。サイボウズのキントーンは中小企業や部門単位での利用に適している。一方で、SmartDBは大規模なデータのハンドリングが可能であり、役職ごとの権限設定や意思決定に際したワークフローの合議設定など大企業向きのプロダクトである。

Q: 規模が大きい会社と直接取引ができている理由は何か。 

A:初期はトップセールスを中心にした営業、プロダクトの技術的な優位性によるものである。現在は若手中心の営業に移行しているが、先行事例や実績により、大企業から技術的な信頼を得やすくなっている。

Q: キントーンのようにTVCM等は行わないのか。今後、広告宣伝費はどうなるのか。 

A:TVCMを行う予定はない。大企業は合意形成の複雑性が高く、リードの増幅が期待できないことや、見かけ上のリードが増えオーバーヘッドが大きくなる懸念もある。検討の中心である30代中盤から40代前半がTVを見ない世代であることも理由の一つである。広告に関しては、SEO対策や「デジタルの民主化day」といった自社開催のプロモーションイベント、また大規模DXイベントへの参加も行っている。

Q: 公認パートナー経由での顧客獲得の場合における、パートナーと御社の取り分等、契約内容を教えてほしい。 

A:契約内容はケースバイケースであり、具体的な取り分を伝えることはできない。契約目前の企業の紹介と、単なるリードの紹介では前者のほうが価値が高いため、紹介内容に応じてバックマージンのレートを調整している。

Q: 社内でのAIの活用方法や、競合の脅威はあるか。 

A:競合になる可能性が高い企業に対しては研究を行っている。オンプレミス時代には外国製品が競合であったが、クラウドサービスに移行してからは、プロダクト自体の比較というよりは、従来型のシステム部門とベンダーが連携してのシステム導入か非ITセクションの現場部門が主導してデジタライゼーションを推進するかの比較が活発化している。AIの活用については、社内では生成系AI含めあらゆるAIを活用している。プロダクトにおいては、画像系や言語系、機械学習AIは一般化するほど当たり前になっていると認識しているが、バズワード化している新技術に対しては慎重に検討し、十分な研究を行っている。ユーザー企業にとって現実的・実務的な活用を推進できるサービスが提供できるよう開発を進めている。


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